シャワり終わって即冷えたビール、正確には発泡酒第三のビールは脱水を引き起こすからと、お水を飲むよう努めているのにここ最近、そのお水を飲み干すと吐き気を催す。真水、だからかと、塩を舐めてはみるけれど。在勤モードで"ダレ"が起きないためのバックグラウンドビデオを探してきたら『山猫は眠らない』がプライムに来ていた。わたしの家計としては贅沢の部類とも思えるがレンタルはなにをどうしても延滞してしまうのでそれよりはマシ。テレビはどうせ見ない、お昼をいただくお店で見るか、どなたかのお家で見るか。もう、バラエティをたのしむ元気もたのしみたい気持ちも、ない。ノンフィクションで気になるのはあるけれど、動画とは違う、あの受動的に、ほとんど強制に近い環境で情報を摂取する余裕がなくなっている。たまに、なら問題はないのだけれど。手前で勝手に決めている回数までスリーカウントに入った。お酒を侮辱する、それにはご迷惑をかけることも含まれていて、そのような飲み方をこれだけやったらおしまいですよ、というやつ。めちゃくちゃになるたび、立て直すのが困難になる。そもそも死んでほしいのがわたしで、でも、殺せないのは実母もまた勇気がなかったから。あるいは、世間体か。圧迫感は安心をもたらすらしいと、時々、気まぐれに、和菓子の気持ちになって、折り畳まれた布団の隙間に身を潜らせる。真偽不明の、記憶なのか夢なのか。襖ではあるが引き戸の押し入れに、大昔だからおべべ、晴れ着のように鮮やかで重たい布団が神経質に畳まれて、何組も積まれている。わたしはそこに実を横たえて、じっと、押し入れの外に出ても良い時間までを過ごす。すべて、でなくてもいい。任意の一部、脳味噌の、たとえば記憶だけでもそろそろ自在にならぬのでしょうか。適当な、雑にという場合ではなく適切に、それに適した幼児期の記憶。せめてお家に帰ったら実母と知らない人ではなく実父がいい。贅沢か。フィクション、どこかの誰かがつくりあげた記憶でもいい。あるいは消してほしい。冷たいとか熱いとか痛いとか、悲しいのもぜんぶ。ワガママですね、よくばりが過ぎるわ。