積極的に控えようとしなくてもさまざまの優先したいこと、すべきことがありがたくも途切れなくて、だからSNSにひきずられることはなくなった。なくなったはずなのに一時期と違って、すこし恋しくなっているときがある。たぶん。わたしが怒らせるようなことをしなければやさしくてもったいないくらいやさしいのにわたしが怒らせた。加害者のこと。そんなことを思っていたねえ、わたし。そのときの手触りや部屋の暗さや冷たいとか熱いとか、ふわっとただよってくる。祖母が愛犬を亡くして、「あの子の匂いがしたわ。」と言うのを何度か聞いた。わたしもたとえば雑種の子とかとてもすばらしいしっぽのシバの子とか、「あれ、お昼寝してるの?」と、なんとなくそんな匂いだか雰囲気だかが通りすぎたこともある。似ている、それに。だから雨は怖くて、苦手、嫌い。こわいお留守番の日も、どうしてか雨に風に雷に、ベランダのモノが飛んだらたいへんだから、わたしがおこられるのは構わなくて、ご近所さんにご迷惑になったらママとパパがまた困るから。うっかり深爪をした。実母の見栄で買ったピアノの蓋を、練習曲が全然上達しなくて、不協和音しか鳴らなくて、実母が怒るのは当然。下手くそならば一生弾かなければいいの。蓋の黒と、白鍵と、指先からの血は劇場版ウテナの色合いとおなじ。綺麗ね、って、それは一瞬でやっぱり痛くて、まだ痛いなんて思うのね、わたしは。そのまま反省していなくちゃだしピアノやお部屋を汚したらダメだし、熱いお湯につけたときみたいになるまで指を、赤ちゃんみたいにしがんでいるこれはほんとにあったことなのかな。ほんとかどうかは、もうどうでもいいの。今、に、帰ってこなくちゃ。年齢っていう数字が増えて見た目は老いて、なのに赤ちゃんみたいだ。甘えときなさいをしてもらえる時間が増えてしまった。キミのその具合ならもっとスレていておかしくないのに正直なのもほどほどに、ほどほどが一等むつかしいのよ?何事も。普通って、全然普通じゃないのよ、とても貴重なモノ。