CPで浮いた分がちょうどHHと同じだねなんて追加するから抜け出せないんですよ、我あるいは我々。"文字というのは道具でしかなくて、その道具のせいで伝えられる情報が縛られるのは、嫌だ。実際のところ、文字数以上のことは表現できないにしても、最初から文字数を前提にした頭になるのは、嫌だ。"なんちゃって。これは遊びです。戯れです。視界が良くなるほどにつらいだのくるしいだの、海上の向こうは憧れに留めておけば幸せだったのにね。手酷いよりは、マシ。優しい嘘。人口の甘味料。
話題の新刊を時間の許す限り追いかけていた気分がなぜかしらよみがえって崩壊しかけの本置き場から『髭を剃る。そして女子高生を拾う。』を選ぶ。広告の誘い文句と真逆の方向へ、ぐんぐん気持ちが振れる。日常、という点では正しい。広告に踊るそれはでもたぶん娯楽として。日常系の日常に近い。
平積みされていたのは新刊だから、ではなくフェアか、そのたぐい。刊行から一年経っているのにたやすく入手できて、角川も変わったのかもしれない。原作のひとつにしかすぎない、ライトノベル
実感しているよりずっとおおきな、メジャーな感覚とのズレを3話でうっすらと、7話で耐えきれなくなって、読みかけのまま本置き場へ戻す。このズレを埋めようとしたらくたびれる。病みもする。ああ、そっか。安心なのか納得なのか、妙な気持ち。
本棚があると隙間を埋めたくてたまらなくて必要以上に増えてしまう、かといって積み上げ式もそろそろ限界。
読みかけで放り出すのは本に対して失礼だと、なにがなんでも読みきっていた頃に比べたら守りに入るのが癖以上の、習慣になっている。老いとは自己保身を躊躇わないこと。わたし、以外の、あらゆる周囲への不平不満を言葉にして言葉にならなければ"自傷"へ変換して、それでも苦笑だけで済む若さはもうない。ヒステリー。癇癪持ち。厄介な女。うまく感情をコントロールして、その場にふさわしくないモノは溶かして伸ばして誤魔化して、馴染むことです。パズルではないのだから。ぴったりと、しっくりと、そんなものは夢。幻。理想。
あの方への、そしてあの子に対してもそうあってほしい気持ちが生きていることにほっとした。確認方法は不適切どころか断罪されるべき。誰に。誰が。己がために他者を踏みにじる己がためなど殺してしまえ。歪み続けながらのその場しのぎは、見える傷が薄れれば薄れるほど、こわい、を増やす。気がする。錯覚の積み上げ。一途というのは舌触りならぬ耳触りをなめらかにしたにすぎない。頑固さは、すべてを差し出すと決めた先以外は"サブ"だと、しょうもないこだわりを発信し続ける確認し続ける。人生でもお仕事でもライフだのビジネスだの、パートナーなしにやれたらずっと気楽。孤独は悲歎ではない。そう思えるためにも他者が必要で、人間は疲れる。人間でないなら疲れないの?
からーれすぐりーんあいでぃあずすりーぷふぇりおさりー。誤りは罪だなんて、そんなの、息苦しいのにね。"揃っている"ことを好ましく感じるのも手伝ってか、男女ひとりずつ、というのがわたしらしい。たんなる欲張り。まぐれ。気持ちなんてその程度。大袈裟にすればするほど奪ってしまう。そうあるべき、何かを。想いの強さは時として……なんだっけ。かろやかに飛ぶ風船は期待されていないからこそ。気付いていない、ただの鈍感かもしれない。
職業選択の自由があると思えるのはそれなりの地位がある証拠。悩んでいるあいだにも時間は過ぎる、限りある貴重な休憩が無為になる、一円でもたくさん、手っ取り早く、ああ修学旅行のお知らせなんて来ていたな。家賃数ヵ月分あるいは、ひと月分と電気とガスと水道とすこし。小学校で行きそびれたからね、って納得させかけて、やめた。こういうのは貴族のみなさまで、どうぞ。住居を選択する自由しかり、選べるみなさまは存分に選んでください。羨ましさが、また、ぐにゃぐにゃと歪んでいく。
高校への進学を諦めれば多少は余裕があったかもしれない。将来どうしようかなあ、なんて、悩んだりする余裕など。中卒の責任者なんて信頼できるか?そんな悩みなのかもどかしさなのか、知らなければよかった。はやめに知れたのが幸福ではなく、知らせてもらえたことが幸福なのでしょう。
都合のよい妄想。真剣になる、真剣にやろうとしあう。真剣さと引き換えに、わたしではなく、あなたの寿命のみが引き換えに。これはこれで不誠実だ。本気なんて、そんなの言葉だけ。せめて誠実さを失いたくないのも贅沢。かろやかに。わずらわしさからの逃亡だとしても、"重力"は争いの種。
ざっざっと、たいした時間をかけずに所持品をリストアップできなくなりつつある。把握できないことは、こわい。天井の高いこのアパートはそういうところも好きになれない。
選べるのに選ぼうとしない。選べないのに選ぼうとする。それもきっと離れているからこそ。手にしてみれば瓶の破片の、かどっこがこそげたたげなのに。宝石に見えていたしそれ以外に思えなかったし、かといって美しさまでこそげはしない。水晶浜と名付けた誰かには光の加減がほんとうの水晶に感じられたんだ、あるいは瓶の欠片が集まる"くぼみ"。ほんとうも嘘もわからないわからなくていいくらい、綺麗だった。