こんなことではいけないと度数の高い酒をあおって、うつむいて、いったいいつまでこうするつもりなのか。摂食に難がある方のなかには加齢とともに体力が落ちて、過食からの自発的な嘔吐がしんどくて拒食へどんどん傾く方もいるのですよと、もう少なくとも十年は昔の医者の言葉がよみがえって、ああ少なくともわたしが関わったことのある医者で、あからさまな嘘を言われた医者はいない。そういう意味でも恵まれているのかもしれない。また別の医者は同じくらいの昔の話だが、肉体的なダメージの世話をしてくれたあの医者は、まあ医学も進歩しますからと言い添えながら、実年齢よりは十歳くらい早く老いるでしょうねと言った気がする。どれもこれも、ずいぶんと都合よく脚色された記憶であろうことは承知で反芻する。リハビリを断ったどころか不摂生の手を休めずそれでも生きているのだからなかなかしぶとい人間である。きっと事実からは遠ざかっているであろう記憶のいくらかは、わたしがそう決断したのだからそうなったのだと感ぜられることだ。居心地が悪いとこぼしながらも、あの家に居続ける選択もあった。が、わたしはそうしなかった。自業自得だ。それで未だに実父母が恋しいなんて、きっと彼らからしたらなんたる被害妄想だと見えてもおかしくない。キミが悪いわけじゃあないんだよと、まったく偽りなく慰めながらなんたる矛盾。他者も自分もどちらも贔屓なく大切にするのは難しいですね。矛盾に耐えられぬのもまた未熟さなんだろうか。